在宅医療のことを知ると人生にポッと火が灯る
LifeWell えーきちブログ
末期がん、お家に帰ろう

末期がんの家族を家で看取るために【はじめに】

がんの末期となったご家族を自宅に連れて帰ってあげたい。

病院ではなく、自宅で過ごさせてあげたい。

そんな風に考えているあなたに少しでもお役に立てばと、この『末期がんの家族を家で看取るために』を書き始めました。

在宅医療や介護の専門職の力を借りれば、がんの末期であっても自宅に帰って、家族と一緒に過ごすことができるのですが、その方法や情報はまだあまり知られていないようです。

先進的な在宅医療を実践する在宅医の考え方や、私の訪問マッサージ師として末期がんの方を看させていただいた経験、そして がんで逝った父と母を見送った時の経験や後悔を元に書き進めていきたいと思います。

コレだけ、やっとこリスト
  • 「こんな状態で家に連れて帰るなんて絶対ムリ!」→連れて帰れますから安心してください。
  • これからの起こることに向き合うことが大切です。
  • これからの経過は7つの段階に分けられます。最初に理解しておくと関わり方が変わってきます。

どんな状態でも家に帰ることができます。

「どんな状態でも家に帰ることができます」

これは、私が勤めた医療法人ゆうの森の永井理事長の言葉です。

この言葉の通り、ゆうの森そして、たんぽぽクリニックでは、多くのがん末期の患者さんを受け入れ、自宅に戻していました。

そして、患者さんたちは自宅で安心して療養をされていました。

「こんな状態なのに、家に連れて帰るなんて!」と周囲の人が文句を言ったとしても、患者さんである本人が「自宅に帰りたい」と願うのであれば自宅に戻り、病院と遜色ないケアが受けられます。

それが今の日本の在宅医療です。

まずは、このことを知っておいてください。

たんぽぽクリニックの患者さんの中には、「あと1ヶ月しか生きられない」と病院の医師に告げられたにもかかわらず、自宅に戻って半年近く過ごされた方もいます。
また反対に、家に帰って2、3日で亡くなった方、その日のうちに亡くなった方もいらっしゃいましたが、見送ったご家族は「家に連れて帰ってあげられてよかった」とおっしゃいます。

永井先生は「患者さん本人が望むような選択をしてあげられた」と思えることが、見送った家族が「納得できる」お看取りになるといつもおっしゃっています。

これから起こることから、目を背けないで。

ここからは、かなりつらい話をします。

でも、ぜひ読んでいただきたいことなのです。

ここに向き合えるかどうかで、これからの時間の過ごし方が変わってくるほどに大切なことです。

インターネットで情報を集めている方は、少しでも病気の家族を長生きさせたい、病気を治したいと思って、必死の思いで情報を探していると思います。

その気持ちは病気のご家族にとっても、ありがたく、心強いもので、生きる力、支えになっていると思います。

それでも・・・・

それでもいつか・・・・人はみんな、必ず亡くなります。

みんな亡くなるのです。

その時が必ずやってくるのです。

今、老いていても、若くても、元気でも病気でも、次の瞬間に事故や災害で亡くなるかもしれない・・・
これを書いている私だって、同じです。
それが命というものなのです。

だから今、闘病中のご家族が亡くなるということからも目を背けないでほしいのです。

つらいことですよね・・・

大切な人がいなくなるなんてことは、考えたくもないですよね。

わかりますよ、私もそうでしたから。
私は父と母の終末期に、いくら主治医の先生から「あと1週間です」「そろそろ今日あたりです」と言われても、心のどこかでは奇跡が起こってV時回復するはず・・・と信じていたので、どれだけ言われても、心を素通りしていました。

しかし、自分が父と母の死と向き合っていなかったがために、伝えるべき言葉を伝えられませんでした。

死ぬことについて話していなかったために、「今まで、本当にありがとう」「大好きだよ」と言葉で伝えると、もうすぐ死んでしまうみたいに聞こえてしまうからと口にできませんでした。

状態が悪いながらも、あとから思えば安定していた時期に、もっと旅行やドライブに行って、写真もいっぱい撮っておけばよかった・・・とも思っています。

当時は、「状態が悪いながらも、よい時期」、よく言われる「最後のいい時間」というものがあることも知らず、それがこの時期だということを誰も教えてくれませんでした。

たんぽぽクリニックで在宅医や訪問看護師、訪問リハビリなどの専門職のサポートを受けながら、“最後のいい時間”に楽しそうに思い出づくりをする患者さんやご家族さんを見ていると余計にそう思いました。

亡くなる・・・ということから目を背けていても、その日はやがて必ずやって来ます。

目を背けていてもやって来ます。

自分が大切な人の死を意識したから、諦めてしまったから亡くなってしまった・・・ということではないのです。

むしろ、亡くなるということに向き合えなかったことで、旅立つ人にも見送る人にも後悔が多くなるのだと思います。

病気の本人もそばで見守るご家族も、「死」に向き合った瞬間から、残された時間の持つ意味が違ってくるはずです。

もし、あの時の自分が「死」に向き合っていたら、今の後悔は少し違ったものになっていたと思うからです。

“最後のいい時間”を逃さないため、そして、伝えるべき言葉をちゃんと伝えるためにも、これからどのような経過をたどるのかを理解しておくことはとても重要だと自分の経験から思います。

この経過については、岐阜県にある医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック代表の市橋亮一先生がとてもわかりやすく分析してくださっていますので、市橋先生・若林先生・荒木先生の共同ご著書であるがん患者のケアマネジメント 在宅ターミナルをささえる7つのフェーズ・21の実践」(中央法規)を元に紹介していきたいと思います。

この本は、ケアマネジャー向けに書かれた本ですので、その内容を患者さんのご家族向けに翻訳してお伝えします。

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ABOUT ME
えーきち
永吉裕子(ながよし ゆうこ) 【介護支援専門員(ケアマネジャー)、鍼灸師、あんま・マッサージ指圧師資格取得】 在宅医療を主体とする医療機関に13年間勤務。 その間、たくさんの在宅患者さんやご家族と出会い、全国の素晴らしい在宅医療関係者と出会いました。 在宅医療で可能になる「生き方、逝き方」をすべての日本人に知ってもらいたい。 「最後の日まで、自分らしく生きる」ために、在宅医療と上手に付き合ってもらいたいと考えています。